into Sunny side

陽向でのんびりするために 思考する場所です

CVT(無段変速機) 燃費が良くない? エコな走り方とは

最近は多くのクルマにCVT(無段変速機)が搭載されています。

回転数抑制装置という省エネ機能とされていますが、操作の仕方によってはかえって他の変速機よりも燃費が悪くなってしまうという声もあります。

 

低燃費・エコを実現するにはCVTの特性を理解し、効率的な運転をすることが重要です。

ここではCVTの特性を生かした運転の仕方、注意すべきことを紹介します。

 

この記事は

CVTのクルマに乗り換えて

  • エコというわりには燃費が良くない
  • アクセルを踏んでもクルマが動かない
  • アクセルの踏む量とクルマの動きがあっていない

と感じる方に読んでいただきたい内容です。 

 

もくじ

 

 

CVTとは

CVTとは、Continuously Variable Transmissionの略で、連続可変トランスミッション無段変速機といい、歯車以外の機構を用いて変速比を連続的に変化させる動力伝達装置のことです。

 

機構そのものについては別の機会に掘り下げようと思いますが、基本的な構造は2枚の円盤(プーリー)がエンジン側とドライブシャフト側にあって、その間をベルトで結んで動力を伝達するというものです。

 

イメージ的には自転車のような感じで、ギアが2枚合わせのプーリー、チェーンがベルトと考えれば良いと思います。

この前後のプーリーの間隔を変えることで自転車のギアの径を変えるのと同じ働きをし、変速比率を変えます。

 

エンジン側のプーリーの幅が広いとベルトの接触径が小さく、ドライブシャフト側の接触径が大きくなり、起動に必要な大きな力を出すことができる、低速ギアと同じ働きをします。

スピードが速くなると、エンジン側のプーリーの幅が狭くベルトの接触径が大きく、ドライブシャフト側の接触径が小さくなり高速ギアと同じになります。

2枚合わせのプーリーの幅は自由に変更されるので無段変速となるわけです。

 

プーリー幅の制御やベルトの材質によって色々なタイプがありますが、基本的な構造はどれも変わりません。

  

CVTの特徴

CVTはプーリーとベルトによる仕組みとエンジンの電子制御によって、エンジンの回転数を一定に保ったまま速度を調整することができます。自転車でペダルを漕ぐ力が一定のままでも変速ギアで速度が調整できるのと同じです。

そのため、エンジンの効率の良い回転域を使い易く、省燃費につながるトランスミッションとされています。

 

ただし構造的にギアを介さず、ベルトと円盤の摩擦で動力を伝達していますので、ベルトの材質や制御によって程度の違いはありますが、理論上「滑る」ことは避けられません。

 

またCVTは機構上クリープ現象が起きません。

クリープ現象とはAT車でDレンジの時にブレーキから足を離すとクルマが動き出す現象のことで、都市部で渋滞にはまった時や、体をひねって後方を見ながらバックをする時などにはとても助かる現象です。

CVTにはその現象が基本的にはありません。ですが日本の道路事情ではクリープ現象がないと不便なので、今時のCVTは強制的にクリープ現象が起きるようになっているものが多くなっています。

ですが全てのCVTクリープ現象が組み込まれているわけではありませんので注意は必要です。

 

CVT運転のコツ

では実際の運転についてです。

 

前述のようにCVTは噛み合うギアの無いベルトと円盤の摩擦で動力を伝達する構造で、「滑る」ということが多少に関わらず発生します。

滑った分は動力が伝達されませんので、いかに滑らないようするかが効率的・エコ運転のポイントとなります。

 

シーン毎に気をつけるべきポイントがありますのでそれぞれ見ていきましょう。

 

 暖機運転

最近のクルマは基本的に暖機運転は必要ないと言われています。取扱説明書にもオイルが一回りするくらいの時間以上の暖機運転は必要ないと書かれています。

確かにエンジンは高い精度と優れた電子制御のおかげで、エンジン始動後すぐに走らせても問題が起きることはほとんどありません。

 

ですがCVT車は特に寒い時に始動後すぐにアクセルを踏み込んでも車速は上がりません。

車速が上がらないからとアクセルを強く踏み込んでも回転数が上がるだけで車速はすぐには上がりません。これはエンジンの暖気をしても実は解決しないんです。

 

寒い時はエンジンだけでなく駆動系も全て冷えて固まっています。

固まっているということは動きが悪いということで、駆動系が動かないのにエンジンの回転数を上げてもプーリーとベルトの滑りが多くなり、駆動輪に労力が伝達しきれないということです。

エンジンを暖気しても駆動系は動かないので速度が上がらないということです。

 

ならばどうすれば良いか。

答えは単純で駆動系を暖気すれば良いのですが、動かない駆動系を暖めるというのは現実的ではありません。

では現実的にどうするかというと、一定のアクセル踏み量で、勝手に車速が上がるまで我慢して低速で走ることです。

 

これも先に説明がありましたが、CVTはエンジンの回転数が一定でも速度調節ができる機構です。ということはクルマが動くだけの動力を出していれば、駆動系が柔らかくなったら勝手に車速が上がるということです。

 

一例ですが、1500〜2000回転で時速40キロ程度で安定して走るクルマとします。

寒い日に一晩放置して走らせようとすると20キロ程度しか出ません。

アクセルを踏んで4000回転まで上げても唸るだけで車速は変わりません。

なので2000回転で時速20キロで我慢していると・・・

数分走るとそのままの回転数で時速40キロまで車速が上がります。

 

こうなってくれればもう心配ありません。

 

回転数が高くても低くても安定して走り出すまでは車速は上がらないので、どうせ無意味なら回転数を低く抑える方が懸命ですよね。

ここで無理をしても無駄に燃料を消費して騒音を増やして、プーリーもベルトも滑れば少なくても磨耗はしますので、全く良いことはありません。

 

 加速

AT(オートマチックトランスミッション)でもMT(マニュアルトランスミッション)でもギアがありますので、ATはトルクコンバーターで少し滑りますが、基本的にアクセルを踏めば踏んだだけ駆動輪に動力が伝達されます。

 

CVTの場合はギアがないので駆動に必要な分以上の力を出してしまうと滑ってしまいます。

クルマは静止状態から動かす時に大きな力を必要としますので、クルマが動き始めるまでは駆動側は抵抗です。

暖機運転のところで説明しましたが、抵抗が大きいうちに過剰な動力をかけると滑るだけでクルマは前に進みません。

 

なので効率良く走り出すためには滑らない程度にアクセルを踏んで、動き始めたら踏み足していくということが肝心です。

冷えている状態でない限りは、クルマが動きさえすれば後はアクセルの踏み方に応じた駆動力が伝達されます。

 

ただし急加速をしようとしていきなりアクセルを強く踏み込むと、クルマが動いている状態ではあっても過剰な動力が出される状態になるので滑ってしまいます。

 

発進、加速どちらの場合であっても、車速に応じたアクセルの踏み方というのが最も効率良くクルマを動かすコツということになります。

 

 走行中

発進、加速中は無理にアクセルを踏むと効率が落ちてしまいます。

では走行中はどうでしょうか。

 

CVTはエンジンの回転数が一定でも車速調整が可能な機構です。

ということはアクセルを強く踏まなくても車速は上がっていくのか?

ということですが答えは「YES」です。

 

もちろんエンジンの回転数で出せる速度の限界はありますが、スタート時のアクセルの踏み方で一定にしておくと車速は意に反してどんどん上がっていきます。

もちろん回転数が一定では車速は上がるものの上がり方はゆっくりなので、周りの流れに乗るためにはある程度アクセルを踏み込む必要はあります。ただそのまま踏んでいると車速は上がってしまうのでアクセルを緩める必要が出てきます。

 

まあ、アクセルを踏み続けなくてもある程度の速度で走行してくれるので、燃費向上に一役買ってくれてると言えますね。

 

 減速

CVTには機構的にクリープ現象はありません。

ということは逆にエンジンブレーキもほとんど効かないということです。

実際はそんなクルマは危ないので、クリープ現象と同様に制御でエンジンブレーキを効かせるようにされています。

 

ただしここの制御はメーカーさんの考え方で違いますので、自分の乗るクルマがどのように制御されているかは確認しておく必要があります。

ここをはっきり理解していないと、自分のクルマでは普通に減速したのに違う車に乗ったら速度もコントロールができないなどという危ないことになります。

 

どういうことかというと、アクセルを抜いたところでエンジンブレーキがかかるものと、ブレーキを踏んだ時にエンジンブレーキが同時にかかるものがあるということです。

おそらく相当な無茶をしない限りは平地では問題はないともいますが、下り坂では注意が必要です。

アクセルを抜いてエンジンブレーキがかかるクルマはアクセルから足を離して速度を見ながらブレーキを踏むとかすれば良いですが、ブレーキと同時にエンジンブレーキがかかるクルマは下り坂はブレーキを踏みっぱなしになります。

 

長い下り坂でブレーキ踏みっぱなしは、特に暑い夏は危険なので、早めに「S」レンジやマニュアルモードを使って減速をする必要があります。

もっともアクセルを抜いてエンジンブレーキがかかるクルマでも、ギアのある車に比べたら格段にエンジンブレーキの効きは悪いので、早めのシフト操作は必要です。

 

まとめ

 変速ショックのない快適な走行。

エンジン回転数を抑制してエコな走行。

など良いことはありますが、機構や特性を理解しないでAT車MT車から乗り換えると勝手が違ってかえって効率が悪いとか、危ない目にあうとかがありますので気をつけたいものです。

 

この記事は使用する上での一般的なことを書いてきましたので、最新式の制御はもっと良くなっているとか、クルマの性格や重さで反応が違うということはあると思います。

 

CVTも年々(モデル毎?)に進化していますが、正しく使えなかったら宝の持ち腐れになってしまいますので、この記事が楽しく効率的なドライブの助けになればと思います。